平成30年7月豪雨 7月15日(日)岡山県総社市
活動者 三澤寿美・趙由紀美
16:30 倉敷市保健所着
17:00 岡山県立大学教員(以下、看護教員)と面会(事前調整あり)
18:00 看護教員の希望あり、KuraDRO本部の許可を得て、KuraDROミーティングに同伴参加。
(KuraDRO:Kurashiki Disaster Recovery Organization 倉敷地域災害保健復興連絡会)
19:20 KuraDRO参加後、翌日の活動について看護教員と相談
【総社市内の被災状況】
・下原地区:アルミ工場の爆発の後に水害が起こり二重に被害を受けている
・草田地区:50軒の集落のうち45軒が被害を受ける
・美袋地区:床上浸水多数
・日羽地区:床上浸水多数,老人福祉施設のあるさくばら地区の被害が大きい
・水内地区:床上浸水一部あり
・清音地区:3世帯に床上浸水
【総社市内の避難所の状況】
・当初各小学校に30か所の避難所が設置されたが、7月15日の時点では11か所の避難所が開設しており、712名とペット32匹が滞在中であった(712名のうち571名は真備町民である)。真備町(倉敷市)と総社市は隣接しているため真備町民の避難を受け入れているが、倉敷市では総社市にある避難所は自主避難所としての扱いであり、倉敷市からの保健師派遣や物資の配給はなく、総社市の保健師がすべての避難所の衛生管理と健康管理を担当されていた。
・7月11日から、真備町民が滞在している8か所の避難所に保健師の巡回が始まったが、お弁当は総社市が継続して配布している。総社市が担当する避難所は3か所に集約されたが、市内にあるその他8か所の避難所の夜間当直を倉敷市と分担して担当されている。避難している真備町民からは、「よくしてもらっているが倉敷市からの情報が届かない」という声が聞かれ、その都度倉敷市と連絡を取られている。
・数日以内に避難所を冷房のある施設に限定して環境を整え、避難所の仕切りの導入についても当事者の意見を聞いて避難所ごとに対処されている。
・7月12日ごろから便秘の訴えが聞かれるようになり、管理栄養士はバナナや野菜ジュースを配布できるよう手配し、透析療養中の人のために特別な食事が提供できるよう、配布するお弁当の内容にも細やかな支援をされている。
【保健師の活動】
・鳥取県と福岡県から保健師の派遣があり、市の保健師と分担して避難所の衛生管理と被災者の健康管理、被災地区の個別訪問を行い、被災状況、健康状況、受診状況などを確認されている。
【地元看護大学教員とのかかわり】
・訪問・面会前に関係性を構築しつつあった看護教員からの相談に対応した。倉敷市保健所にて面会し、情報を共有した。7月13日より総社市役所健康医療課の活動に有志の看護学教員が参加して、避難所や救護所での熱中症対策を行っている。「初めての体験で、すぐには駆けつけることができなかった。自分たちにどのようなことができるのか困っていた」と、面会を心待ちにされていた。過去の災害の長期的な支援の必要性と生活が変わることが健康に及ぼす影響と看護学教員と学生の長期のボランティア活動などを紹介した。
・KuraDROのことは聞いていたが参加はしたことがなく、参加希望であると話す。まずはKuraDRO本部につないだ上で、ミーティング同席の許可を得て参加した。適宜、用語や略語等について、ワンポイントの解説を行った。
・KuraDROに参加、解説があったことで、支援体制の全体像を知ることができたとのこと。総社市は真備地域の医療機関が10施設被災しているのに対して、総社市の医療機関は被害を受けていないことから、医療支援よりは被災による心身の悪化予防と異常の早期発見で看護支援が有効に活用できるのではとの感想が聞かれた。避難所の夜間巡回など看護支援の方法と過去の支援経過などについて説明した。
・面会時、日本災害看護学会や外部のサポートがあることに対し、看護教員から感謝の言葉が聞かれる。ゆくゆくは地域の中で岡山大学を中心に県内の看護教員の支援システムを構築し、自分たちが住民への支援を継続していくことの展望について話される。今後、中長期における県立大学看護教員としての支援活動を外部から支えることについて検討が必要か。
・KuraDROミーティング後、看護教員から当該地域の県保健師を紹介していただいた。力を尽くして活動されているにも関わらず、県保健師からは繰り返し自分を責めるような言動が聞かれた。最善を尽くして懸命に活動されていることの労を労う。他県からの保健師派遣もあるが、避難所の数、支援が必要な避難者の状況に応じて外部支援の看護職の配置の必要性について検討が必要か。
課題
・避難所で生活されている方の家族構成や健康ニーズ、今後の計画を把握するための夜間巡回および中長期支援に関する相談・助言が必要である。
・地元保健師の負担軽減のための対策を、地元看護教員・看護職とともに検討する。