平成30年7月豪雨 7/15(日)広島県三原市での活動
活動者:酒井明子・窪田直美・作川真悟
1. 活動概要7月15(日)
木原ボランティアセンター周辺環境確認、住民の健康管理のための巡回、ボランティアの健康管理を目的に活動。支援スタッフの休憩所の環境清掃・整理、被災状況を確認、社協・保健師・外部支援者との話し合い明日からの医療支援と物資(特に簡易トイレ)の確認。
2. 活動内容
<9:00>≪木原地域概要≫
木原地区は市境に位置しており、山上の「ため池」の崩壊による土砂災害で30世帯以上が半壊〜全壊の被害を受けている。A市側の避難所(公民館)においては、床下浸水になり使用できなかったが、市域住民の協力により清掃・片付けを行い13日より5世帯13名が13日より使用している。同日開設された木原ボランティアセンターは、尾道側に位置している公民館を使用している。建物環境は1Fが倉庫、2Fが畳の座敷になっており、1Fの倉庫でボランティアの受付、作業用具(スコップ、一輪車など)の保管を行っている。床はコンクリートで、泥による汚れがひどく室内の大型扇風機で粉塵が舞っている状況。断水により室内の清掃はほとんどなされていない。2Fの部屋は鍵がかかっており使用できない状況になっていた(15日調整後14時に解放)。県社協、市社協などの関係スタッフが8名で運営。ボランティア人数は13日:67名、14日:120名、15日:180名。
ボランティアの受付の手伝い、活動前オリエンテーションを行うスタッフに追加注意事項の説明を行なった。(熱中症予防の為に30分に1回の休憩、2L以上の水分補給、塩タブレットの摂取、粉塵吸入予防の為のマスクやメガネ着用)
気温は上昇し湿度も高く猛暑。道路には泥が50cm以上堆積し、大きな岩・家屋の破損した木材等があったため、道が開通するまでに時間を要したとのこと。家屋の中に土砂がうず高く堆積している状況、車が家に突っ込んでいる家屋、家財道具は道の脇や空き地に集積はしているものの散在している状況。土埃も車が通るたびに視界が悪くなるほど舞っており、悪臭も強かった。簡易トイレが3基あり、男1女2で住民やボランティアが使用。据付のトイレは洋式一基を男女兼用で使用。ボランティアは暑さや作業のため発汗が多量で、排泄回数が極端に減少していた。熱中症や脱水からの健康障害発生の恐れがある。
<9:15>≪A市長へ要望・調整≫
ボランティアセンター(サテライト)はA市とB市で行政区の違う市民が混在している。B市市長にボランティアセンターの環境について説明した。物資(簡易トイレ、掃除用具、マスクなど)、休憩所、社協スタッフエリアの環境整備、ブルーシートやダンボールベッドの物資の必要性、スタッフの疲弊状況、スタッフの不足を伝えた。物資が整うように調整した。簡易トイレと公民館分所の2階を社協スタッフや体調の悪いボランティアの休憩所として活用できるよう依頼。また、ボランティアセンター内のトイレが故障。センターには1基しかなく、200mほど離れた給水所まで歩く必要があるため、仮設トイレを3基緊急で依頼した。
<10:30>≪作業ボランティア及び住民の健康チェックラウンド≫
(体調不良者)
・男性の作業ボランティア。意識障害なし、めまいと倦怠感あり。かなり発汗している状態であった。VS:BP=110/70 P=100 BT=37.0℃
歩行可能であった為、付き添いで公民館へ移動し、更衣と水分摂取を行い休憩してもらった。
・男性の被災住民。「被災後しばらく眠れずなんとなくしんどい」との訴えあり。作業は行なっていなかったが、「ボランティアさんに悪いから」と作業を見守っている。「何もやる気が起こらない」と話され、疲労感が伺えた。訴えを傾聴し、落ち込んだり眠れないのは正常な反応であること、ボランティアに気を使わず作業は任せればよいことを伝えた。
<12:00>≪物資依頼調整≫
社協スタッフに以下の必要物資を依頼。
塩タブレット30袋、床清掃ブラシ5本、長靴を洗う為のブラシ5本、ブルーシート(大)5枚、粉塵マスク300枚。
<13:00>≪ボランティアセンター内清掃≫
土足環境や粉塵汚染が問題と考え、スタッフと相談し1F内部を二分し、半分にブルーシートを敷き、清潔不潔のゾーニングを行なった。
<13:50>≪作業ボランティア及び住民の健康チェックラウンド≫
(体調不良者)
・男性2名の作業ボランティア。2名とも意識清明。疲労感を訴えていた為、休憩室で水分摂取と休息をとってもらった。
<16:15>≪医療支援の調整と周辺の状況を視察≫
視察者にボランティアセンターの状況を伝え、医療スタッフの配置を要望した。
<16:30>≪周辺の公民館を訪問し、住民の話を傾聴≫
60歳代女性
「こんなことは今までなかったんじゃけど初めて。でも前から大雨が降ると上のため池が決壊するんじゃないかって、「何とかしないと」とは言っていたんじゃけど、個人の持ち物だから、ほらね、難しいの。そして、ほら持ち主も高齢だから、どうにもできんくって、こんなになってしまった。ここは高齢者が多いんじゃ。仕方ないけん。私は今全然眠れない。横にはなってるんだけど、眠れん。ずっと覚醒している感じ。1週間じゃけ仕方ない。ここは道を挟んだらそっちは尾道じゃけ。いろいろ難しい。ゴミの問題とか。たくさんゴミが出たから。」
肩のマッサージと冷たいタオルと飲み物の提供、休息を促した。
<17:00>≪社協局長への報告と明日の医療支援について相談≫
簡易トイレがまだ来ていないことを伝えた。
市の保健師と社協に本日の状況を報告し、明日も継続的にボランティアによる医療支援を実施することで合意した。
【課題】
・ 数名の社協のスタッフで、オリエンテーション、マッチング、連絡調整、物資依頼等、多重な職務を兼務している状況から、人材不足は顕在化しており、中長期にかけて支援者の心身の健康などの潜在的問題がある。
・ ボランティアの経験の有無により熱中症予防や粉塵対策などに対する意識の差が大きかったため、集団のオリエンテーションだけでなく、個別対応や熱中症の注意喚起ポスターの掲示が必要(地元の保健師が注意喚起のポスターを作成する予定)。
・ 作業ボランティアの増加、連日の猛暑などから、熱中症や脱水などを引き起こすリスクが高く、住民だけでなく作業ボランティア、支援スタッフの健康管理の為に、医療