兵庫県災害医療センター 看護師 宮本純子
私は今回、中国四川大地震に国際緊急援助隊医療チームのメンバーとして初めて参加しました。病床数4300床の四川大学華西病院のICUが今回の活動現場であり、現地スタッフと共に看護を行なう事となりました。看護活動としては日本のICUとほぼ同じで、口腔ケア、吸引、体位変換、関節可動域訓練、創傷管理、清潔介助を中心に活動を行いました。中国の方法に添いながら日本の方法を紹介し情報交換を行い、紹介した方法の一部を取り入れてもらえる事になりました。共に活動するにあたっては信頼関係が不可欠であり、信頼を得る為にも根拠を持った確実な看護技術の実践、説明のできる確実な知識が必要だと感じました。言葉の壁は四川大学の学生通訳ボランティアが上手にサポートしてくれました。日本を代表して活動する看護師として、相手の価値観を大切に思い尊重する姿勢と共に、日頃からの根拠に基づいた確実な看護実践の積み重ねが重要であると考えます。 中国が海外から医療チームを受け入れるのは今回が初めてであると聞きました。派遣時、中国の国民に受け入れてもらえるのかという不安もありましたが、現地スタッフ、被災者・患者さんは、私達を快く受け入れてくれ、とてもありがたく思いました。中国から帰国後、「阪神淡路大震災時の当初、日本は他国のチームを受け入れなかった」という事実を知り、他国チームを受け入れる側の事を考える機会になりました。他国の支援を受けるという事はプラスの要素だけではありません。救援者に何処で何をしてもらうか、その為に受け入れ側の準備があり、特別な役割を要求される事なども考えられ、普段なら感じなくてよいストレスを感じる事にもなります。今回は救援者側の立場でしたが、救援者を受け入れる側として、組織、個人として「受け入れ体制」を考えておく事も大切な災害への備えであると考えます。