これからの災害看護のあり方とは

2007(平成19)年も国の内外で大規模な自然災害が頻回に発生しています.わが国の災害発生を概観してみると,桜の便りが聴かれる3月25日に「能登半島」においてマグニチュード6.9の地震が発生しました.復旧作業がまだ終了しないうちに,7月16日には「新潟県中越沖地震」に見舞われました.新潟県は,中越沖地震の前に2004年の新潟中越地震,2005年の大洪水災害を経験したうえ,そしてこのたびの地震と,数年間に3回もの「大災害」を被ることとなり,心中,いかばかりかとお察しするしだいです.  10月には関東・神奈川県西部を震源とするマグニチュード4.9,震度5弱の地震が発生しています.そのほか,震度4以上の地震は沖縄から北海道まで日本列島を縦断し,発生しています.災害の被害発生を聞くたびに心が騒ぎ,災害の際の看護・医療と福祉の充実をさせていくことがいかに重要であるかを痛感しております.  わが国の最近で最も大きな自然災害といえば,1995年1月17日の阪神・淡路大震災でしょう.6,433人の尊い「いのち」が失われました.このときの教訓をかてにして「災害医療のあり方」が検討され,その成果として大規模の災害援助が迅速,かつシステマチックに展開されるようになりました.このことは2007年に発生した災害に際し,遺憾なこれからの災害看護のあり方とはく力が発揮されたこととして評価がなされています.  阪神・淡路大震災のあとの1998年12月に災害看護の実践と災害看護学の発展をめざして日本災害看護学会が発足しました.以来,毎年,社会活動の一環として,「災害看護メッセージ」を発信してまいりました.災害を体験した被災地の人々や救援にかかわった人々が,「あの時」を振り返ったあと,「いま」と「これから」にご提言をいただきたいものです.災害が多発している現在,予知は不可能ともいえるので,できることはまず「備え」です.「備え」として看護師が実行できることは,災害看護の質的向上と教育の充実でありましょう.  このために,実践からの教訓や備えの具体的な事柄を「災害看護メッセージ──備え」として発信できる場が必要です.今後も災害看護経験やボランティア活動の発信や,万が一,被災者としての体験があれば「教訓」や「備え」はぜひとも,広報してください.今回,体験をお寄せいただきましたみなさまのご協力に感謝を申し上げます.

日本災害看護学会社会貢献・広報委員会 ■委員長臼井千津 ■委 員浦田喜久子,小笹美子,黒田裕子,瀬戸美佐子,渡邊智恵

 





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