日本災害看護学会社会貢献・広報委員会 委員長:
臼井千津 委員:浦田喜久子、小笹美子、黒田裕子、瀬戸美佐子、渡邊智恵
新春の候です。 昨年も国の内外で大規模な自然災害が頻回に発生し、その被害は甚大なものがありました。多くの災害を思い起こすと、心が騒ぎます。被害発生のたびに、災害の際の医療と看護学を充実させていくことがいかに必要であるかを痛感しております。 我が国の最近で最も大きな自然災害といえば、1995年1月17日の阪神・淡路大震災でしょう。6433人の尊い「いのち」が失われました。このときの教訓を糧にして「災害医療のあり方」が検討され、その成果として大規模の災害援助が迅速、かつシステマチックに展開されるようになりました。このことは2004年に発生した新潟県中越地震や2005年のJR西日本尼崎駅付近転覆事故の際に遺憾なく力が発揮されたこととして評価がなされています。 阪神・淡路大震災のあとの1998年12月に災害看護の実践と災害看護学の発展を目指して日本災害看護学会が発足しました。以来、毎年、社会活動の一環として、「災害看護メッセージ」を発信して参りました。災害を体験した被災地の人や救援にかかわった人が、「あの時」を振り返ったあと、「いま」と「これから」にご提言をいただきたいものです。 災害が多発している現在、予知は不可能といえるので、できることは「備え」だけです。「備え」として看護者が実行できることは、災害看護の質的向上と教育の充実であります。このために実践からの教訓や備えの具体的な事柄を「災害看護メッセージ―備え―」として発信できる場が必要であります。皆さんには、今後も災害看護経験やボランティア活動の発信や、万が一、被災者としての体験があれば「教訓」や「備え」はぜひに広報してください。 今回は「豪雨災害」をテーマとして、被災者として、看護者として、また救援者としての経験をお寄せいただきました。ご協力に感謝を申し上げます。
臼井 千津