新潟県中越沖地震医療活動に参加して

国立病院機構災害医療センター 感染管理認定看護師 福元大介

 

地震発生(2007年7月16日)の当日、私は朝から通常の病棟勤務についていた。地震発生直後には「災害医療センター」として院内に設置された災害対策本部より派遣要請に応えるため災害派遣の準備が開始された。私は国際緊急援助隊にも登録しているため、常に派遣に必要な個人装備の準備はできている。そのため、個人装備は直ちに完了した。当院では派遣時の携行医療資器材は日頃より準備・点検がされている。しかし、派遣先の被災状況や被災地までの交通手段などに合わせて携行医療資器材を変更しなければならない。今回は病院に隣接している陸上自衛隊立川駐屯地のヘリコプターにて現地へ向かう予定となり、搭乗するヘリコプターの定員や搭乗人数、積載可能な荷物の量や現地の状況を加味して携行医療資器材の変更を行った。そして,ヘリコプターで立川駐屯地を離陸したが新潟県柏崎付近上空が天候不良であり、残念ながら立川へ引き返し,陸路に変更されて派遣先へ向かった。  17日午前、柏崎市内の総合病院へ到着し診療支援にあたった。外来ホールに臨時で設置された診療ブースにおいて外傷や骨折(含疑い)の患者さんの約20名の診療介助にあたった。私は感染管理認定看護師でもあり,診療支援の中で、清潔な水が十分確保できない状況下での手指衛生保持方法や水道の配管の損傷などによりトイレが使用できない場合の排泄物の処理方法など、ライフラインが十分に復旧していない状況における感染予防対策の「重要性」の実態を知ることができた。また、避難所では断水の為にトイレ使用後や食事の前の手洗いが十分出来ないことや、避難所が被災者数に合わせ狭く,各世帯の距離が確保できにくい環境や、空調の停止による空気の換気不足など、感染の危険性が高い現状を目の当りにした。認定看護師として日頃より災害時の感染対策について検討を行っているが今回の経験から、災害現場で活動する中で,かつ,適切なタイミングで,よりよい,正しい感染対策について被災した地域住民に伝える難しさも思い知ることとなった。  今回の災害医療活動を通し、日頃からの「災害への備え」の重要性を実感した。「災害への備え」は看護職や専門性を発揮する認定看護師にとって非常に重要な事である。今後も認定看護師として専門領域における災害に関係する知識、技術の習得や普及に努力することを使命とし災害へ備えていきたいと考えている。

 





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