委員長::臼井千津
委員:今井家子、大草由美子、大山 太、城戸口親史、瀬戸美佐子、牧野典子
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災では、大地震,巨大津波,そして原子力発電所 事故による放射線災害といった複合災害に見舞われました。わが国にとって未曾有の大災害とな り、多くの方々が犠牲となりました。亡くなられた方お一人お一人のご冥福を、心よりお祈りいた します。
発災から一年がたとうとしている今も,被災地に赴くたびに、複雑に変化する環境や、人々の暮 らしと健康への影響に、さらには新たな看護の課題に直面させられます。
・仮設住宅での暮らしに伴うさまざまな不自由や負担による健康問題
・家、田畑への募る思いとは裏腹に、どうにもならない現実に我慢する日々
・子どもに対する放射能の影響に尽きない不安
・転居することも残ることも楽ではなく,めどが立たない不安
・地域の創生に取り組んでいる方々の身心の負担
以上のような問題はごく一部です。被災地では誰もが無傷ではいられず、それは今も続いています。また、被災地の看護職者も被災者の一人であり、家族を思いながらも、看護職者としての役割・使命を背負って活動を続けています。
このような課題に直面し、看護界もさまざまな組織を通して、またNGOなどとして災害看護を展開しています。支援はこれからが本番だともいわれていることを再認識し、支援される側、する側という関係を超えて,共により良い看護を展開することが望まれています。
日本災害看護学会社会貢献・広報委員会では,毎年、災害を経験した方や救援にかかわった方々に、その時を振り返り、今後に生かせる提言をメッセージとして発信していただけるようお願いしております。読者の皆さまも、このメッセージを通して、災害への備えを共に考えていただけましたら幸いです。
このたびは、災害看護の経験をお寄せいただきました皆さまに心より御礼申し上げます。復旧復興に向けて活動されている皆さま、台風被害に見舞われた皆さまにとって、2012年がより良い年となりますよう祈念しております。