災害看護「1.17メッセージ」からこれからの「進展」へ向けて

日本災害看護学会 社会貢献・広報委員会

委員長:臼井千津 委 員:浦田喜久子、小笹美子、黒田裕子、松下 聖子、渡邊智恵

早春の候ですが、昨年の多くの災害を思い起こすこと、心が騒ぎます。一昨年も新潟県中越地震やスマトラ沖地震と、内外で大規模な自然災害が頻回に発生し、その被害は甚大なものがありました。被害発生のたびに、災害の際の医療と看護学を充実させていくことがいかに必要か痛感しております。  わが国の最近で最も大きな自然災害といえば、1995年1月17日の阪神・淡路大震災でしょう。6433人の尊い「いのち」が失われました。このときの教訓を糧にして「災害医療のあり方」が検討され、その成果として大規模の災害援助が迅速、かつシステマチックに展開されるようにはなりました。しかし、災害時に現場で看護に携わる看護職に「災害看護の知識と技術」がどの程度、波及したかについて反省してみると、まだ、大きな課題をかかえているといえるでしょう。「ぶっつけ本番」での救護活動や、避難所のケアなどの任務がおよぼす影響や危険性などからも災害看護に対する教育、訓練、研究などの重要性が強調されます。  阪神・淡路大震災のあとの1998年12月に災害看護の実践と災害看護学の発展を目指して日本災害看護学会が発足しました。以来、毎年、社会活動の一環として、「1.17メッセージ」を発信して参りました。災害を体験した被災地の人や救援にかかわった人が、「あの時」を振り返ったあと、「いま」と「これから」にご提言をいただきたいものです。  これまでに語っていただいた17人のなかには、いまも阪神地区に働いている看護師や、ボランテイア活動を続けている人がいます。いまだからこそ、口にできる胸のうちや抱えつづけているジレンマなどを率直にうち明けて下さいました。これらは多くの人々の共感を呼んだと確信しています。  阪神・淡路大震災から10年が過ぎた節目を期に「1.17メッセージ」の見直しを行いました。一つの役割を果たしたもと考えました。しかし、最近の災害の多発はただごとではありません。看護職者は関連諸機関と連携を密なものとし、災害に対する備えをさらに、充実したものにしておかなければなりません。  現在、地震予知は不可能といえるので、できることは「備え」だけです。「備え」として看護師が実行できることは、災害看護の質的向上と教育の充実であります。このために実践からの教訓や備えの具体的な事柄を「災害看護メッセージ-備え-」として発信できる場が必要であります。みなさんには、今後も、災害看護経験やボランテイア活動の発信や、万が一、被災者としての体験があれば「教訓」や「備え」はぜひに広報して下さい。  これまで「1.17メッセージ」をお寄せいただきましたみなさまに心中より御礼をもうしあげます。

臼井 千津

 





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