熊本県美里町洪水災害における救護活動に参加して
―避難所における看護経験からのメッセージ―

熊本大学医学部附属病院 道口 由美

 

平成19年7月6日の集中豪雨の影響で熊本県みさとちょう美里町では大きな土砂災害が発生し、約100人の住人が避難生活を強いられる状況となりました。私は、熊本県看護協会から災害支援ナースの派遣要請があり、病院の承諾のもと7月13日~7月14日に災害支援ナースとして美里町へ派遣されました。派遣に先立ち、熊本県看護協会からは、活動場所、活動内容、準備するものや現地周辺の地図、また、詳しい被災者の身体状況や現地ともち砥用中学校体育館までの交通手段など情報の提供があり、安全に現地に向うことができました。 美里町砥用中学校体育館の避難住民の数は、被災後1週間が経過し約60人に減っていたため、美里町の保健師2人と支援ナース2人で分担をして私は20人を受け持つことになりました。主な活動内容は、受け持った避難住民の体温・脈拍・血圧測定や身体状況の観察や聞き取り調査を行い、自宅の崩壊や農作物の災害により今後の生活の不安をかかえている住民の精神的支援をしていきました。夜間は2人ずつ交代で仮眠をとりながら見回りを行い、翌朝、交代の保健師に夜間の避難住民の身体状況を報告し任務を終えました。 今回の派遣活動は地域住民の状況を把握している美里町の保健師と一緒であったため心強く、避難住民の詳しい情報も取れ活動しやすい状況でした。私にとっては初めての派遣経験で1泊2日の短期でしたが、達成感と多くの学びがありました。 災害医療においてはチーム内の情報交換の重要性と自分自身の支援ナースの役割をしっかりと考えて自主的に活動していくバイタリティーと環境への順応性が必要だと感じました。また、今後の課題として、災害支援ナースの活動拡大と災害医療について行政や看護協会が一体となって災害医療の活動体制を整備する必要があることなどを強く感じました。

 





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会員数:2024年6月30日現在

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